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ベンチャー企業の監査役の監査計画を考えてみる 補足 - ミライ経済Lab.株式会社‐企業改革に関するお悩みをサポート

コラム

ベンチャー企業の監査役の監査計画を考えてみる 補足

カテゴリ: コラム 作成日:2021年09月29日(水)

こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。

 

2ケ月間、ベンチャーの監査役シリーズをお休みしていまして、

8月から再開するつもりでしたが1か月遅れの今月から再開します!

 

 

5月のコラムでは、

私が会計監査人から監査役に転身して一番驚いた 『監査計画』 についてまとめました。

本当に有益な監査を計画しているといえるのか、問いかけてみました。

今回は、

監査計画について、あともう1つ愕然としたことをお伝えします。

それは、監査計画はいつ策定するものなのか論争です。

 

 

これに関連して、

監査法人在籍時代から、私はIPOをサポートする幹事証券会社に対して

ネガティブな印象が強く

ものすごい偏見をもっているということを最初にお伝えしておきます。

 

IPOを目指すベンチャー企業は、幹事証券会社と支援契約を締結して

組織体制など様々な足りない部分を指摘頂き

マイルストーンを置いてその足りない部分を埋めていきます。

 

私が監査役を務めるベンチャー企業でも

精力的にその「埋める」という業務が行われていますが、

ある日、

証券会社からの指摘として

監査役監査の監査計画は、会計年度がスタートするまでに策定すべし

とのコメントを、コーポレート部長経由で頂きました。

 

その時の私の第一声は 「はぁぁぁ???何の冗談ですか? ありえない!」 でした。

 

板挟み状態のコーポレート部長はひどく困惑していましたが、

私の激怒りの理由を証券会社に伝達して欲しいとお願いしました。

 

会計年度がスタートするまでに監査計画を策定できるわけがない

という私の主張はこうです。

 

監査役監査には、会計監査も含まれます。

その会計監査は、会計期末の翌月に経理が締め作業を完了させた時点からスタートします。

つまり、会計年度開始月においては、前期の監査が進行中なわけです。

そして、前期の監査が終了した時点で、企業リスクや課題が整理されるので、

次期の監査計画が策定できる状態になるわけです。

とすると、どうやっても会計期首に監査計画は策定できないはず、なのです。

 

ということで、私が監査役を務める企業では、

証券会社の方が指摘を取り下げてくださいました。

 

 

幹事証券会社のすべてのご担当者がこのような指摘をされるわけではない

という情報は得ていますが、逆にこのような指摘をされる方も稀ではないようで

本当に、お願いですから、監査を無効化に導かないでください

と声を大にして言いたいです。

 

証券会社の指摘に従って期首までに監査計画を策定している会社は、

実効性がない計画で、その計画に従って監査を実施しているなら

それは、監査やってる感パフォーマンスだけの何の実効性もないトホホな監査だと私は思ってしまいます。

 

海外投資家から日本企業の監査役への信頼がないのをわざわざ助長するようなことは

厳に慎んで頂きたいです。

むしろ、期首時点で監査計画が出来上がっている会社は、

「企業リスク評価されました?監査重点項目はリスクに対応してますか?」と

突っ込んで頂けるなら、日本企業の監査の品質も向上すると思います。

 

 

 

前回もお伝えしましたが、

私の脳内にある監査計画調書が見えるカタチになればシェアし、

みんなでブラッシュアップしていければいいなー

と目論んでおります。

日本企業の監査品質を一緒に高めていきましょう!

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