リスクへの対処 ~ネガティブ情報の公表について考える~
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
先月のコラムでは、
新型コロナウィルスに対し地球規模で協力し合ってパンデミックを阻止したいですね、
とお伝えしたのですが、
その数日後にWHOからパンデミック宣言が出てしまいました。
とても残念です・・・
そして、マスク不足はすっかり常態化し、
紙製品だけでなく、東京では食料品も店頭から消え始めています。
外出「自粛要請」であって、「禁止令」ではないのに、
購買行動に限ってみれば「禁止令」が出たかのよう。
一方で、桜の名所や繁華街は、まぁまぁの人混み状態の所もあるようで、
何のリスクに対処しているのか、ちょっと滑稽な行動にも思えます。
(追記:このコラム掲載後の週末は、さすがに桜の名所も繁華街も閑散としていたようです)
前回の繰り返しになりますが、、、
重要なので敢えて繰り返しますが、、、
個人も企業もリスク分析と対処法を予め作りこんでおくことの重要性を改めて感じます。
先日、とある企業で、ビジネスリスクの話題になり、
リスクが顕在化した時に、そのネガティブ情報はどの程度だったら公表すべきか、
ということが議論になり、
「些細な事象なら、わざわざ公表する必要はない」
「公表しないことが “隠している” と捉えられる懸念がある」
「企業としての公表指針を決めてそれに従えばいい」
など、様々な意見がとびかいました。
このお題は、とても悩ましく、特にSNSが普及した現代においては、
唯一絶対的な正解というのがないテーマだと感じます。
なぜなら、個々の経営陣、従業員、企業のステークホルダー、
そして企業と直接は関係しない世の中の人々…
それぞれの「正義」の定義が違うからです。
先の議論のように、まず、企業としての「正義」を決めるのも大変なこと。
経営陣が徹底的に議論してどうにかまとめるとしても、従業員があまりに多い企業だと、
全員に納得感を抱いてもらうのは至難の業。
そこをクリアしてステークホルダーにも納得してもらえたとしても、世の中の人々が・・・
常日頃から、
現代の経営は、地球規模の視野で考えないといけない、と繰り返している私ですが、
80億人近い「全員」に配慮しようとすると、当然ながら1ミリも動けなくなります。笑
さて、どうしたものかしら、、、と思案していたのですが、
ふと、企業の情報公開について、そもそも論を考えてみました。
まずは、企業であろうと、その情報に直接影響を受ける相手へ個別にご報告するのが基本のはず。
だけど、ご報告すべき相手があまりにも多すぎる場合で、早急にお伝えしないといけない場合に、
止むを得ず、公表(公開)という略式を採用することになるだけのはず。
とすると、顕在リスクのネガティブ情報も、
企業が「この人には伝えねば」というのがスタートであり、
すぐに直接ご報告という手段で対応できるのか、公表という略式で迅速にお伝えするのかは、
自ずと決まるのではないか、というシンプルな答えに辿り着きました。
逆に言えば、誰に影響を与えるのか、どんな影響を与えるのか具体的に思いつかない、
という場合は、その時点ではご報告先がない、ということなのではないか、
と、私は勝手に結論付けてみました。
あなたは、どう思われますか?
いずれにしても、ネガティブ情報をお伝えするのは、「正義」に基づいて、
迅速に、正確に、
そして何より、
相手への影響にきちんと思いを馳せて が大事ですよね。
謝罪テクニックは不要ですからご注意を。
そして最も重要なのは、「ブレない」「正義」 を確立しておくことですよね。
公認会計士がよく使う言葉に ”恣意性” があります。
会社の言動や判断に一貫性がない場合、
「恣意性が介入しているのではないか」と表現したりします。
恣意性が排除された「正義」
それを持っていれば、「正義」の定義が違う相手にも堂々と対峙できるはず。
あなたにとってのゆるぎない「正義」をこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。