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ベンチャー企業の監査役の役割をもう少し深く考えてみる - ミライ経済Lab.株式会社‐企業改革に関するお悩みをサポート

コラム

ベンチャー企業の監査役の役割をもう少し深く考えてみる

カテゴリ: コラム 作成日:2021年04月30日(金)

こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。

 

先月は、ベンチャーの監査役の役割について、

監査役という役割をベンチャー企業ではどう位置付けているのかという実態分析と、

どう位置付けるべきかという私の考えを整理してみました。

 

今回は、

私が考える監査役の役割の1つ

『課題の指摘だけでなく、課題解消の道筋まで提案するという体制構築の一翼を担う』

を具体的に実行する場面について、考えをまとめてみます。

 

 

上場を目指しているベンチャー企業の監査役が上場企業の監査役と決定的に違うのは

IPO準備というイベントへの関わりがあることです。

ですが、私自身がWebで検索する限りにおいては、

ベンチャー企業の監査役の業務としてあげられているのは、

・各種会議への出席

・監査計画の策定、監査の実施と監査報告

・役員とのコミュニケーション

・内部監査人、監査法人との連携

など、上場企業の監査役と全く変わりない事項しか見当たりません。

 

これだと、

「ここができていない、あそこもできていない、、、」と指摘するだけの監査役ができあがりそうに思うのは

私だけでしょうか。

 

 

確かに、

監査役がまずやるべきことは、会社の課題の把握なので、

会議出席、役員とのコミュニケーションは必須です。

ただし、

これらの業務を無計画に始めてしまうと、次々に課題が見つかってしまい、

多数の課題の中で優先すべきなのは何か、

なぜそれを優先すべきなのか、

それをどう実行していくか、

に思いが及ばなくなります。

そこで、

私の場合、就任後すぐに実施したのは、

監査法人が会社に提示したショートレビューの報告書・監査実施報告書と

幹事証券会社が会社に提示した課題管理表の内容把握でした。

 

特に、幹事証券会社の課題管理表は、

組織体制の整備、運用、資本政策、労務、法務、経理、システム分野と、全方位の項目について

状況が示されているので、全社実態を把握するのに有効と思っています。

この表の項目1つ1つの内容を把握し、

次に俯瞰してもう一度眺めてみて、

どこが特に弱いかなど、会社の「特徴」を整理しました。

そして、弱い部分について、どの程度弱いのかを、

会議出席やヒアリング、証憑レビューなどで確認していきました。

 

それでも、次々と気になる部分が出てくるので、何を優先して対処すべきと考えるかは迷います。

唯一絶対の優先順位があればいいのですが、

課題の程度は企業によって区々ですから、それぞれの判断になるのが悩ましいところです。

 

私が監査法人に在籍していた時は、

IPO準備会社に、反社会的勢力との取引か労務管理違反があれば「アウト」

つまり、IPOのスケジュールが予定通りはいかない、と教えられました。

これらは、社会の公器として現在でも強く要求されることなので、この2点はまず優先して確認し

違反があれば早急に解消する対策が必要だとは思っています。

 

あと重要な項目は、「お金の出入り」でしょうか。

支払い担当者は経理と明確に決まっていて、現場のメンバーに権限がない仕組みになっているか、

入出金を記録する担当と、入出金処理をする担当は別人になっているか、

入金も出金も金額の確認が複数人で行われているか、などなど。

仕組みが整っているか、はあらゆる場面で確認が必要ですが、一番に確認するのは

お金周りの仕組みではないか、と思っています。

 

他の視点としては、

対処に時間がかかりそうなものを優先する、

逆に、すぐ対処できるものから手を付けることで、メンバーの達成感を醸成する

など、色々考えられますが、皆さんはどうお考えでしょうか。

 

 

私もまだまだ試行錯誤の連続ですし、自分が考える優先順位を役員に提言するのを

ためらうことも多々あります。

妙案があれば、ぜひ共有ください!

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