ベンチャー企業の監査役の会計監査
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
先月は、ベンチャーの監査役の監査計画についてまとめてみました。
計画は、出来上がると安心して終わった気になりますが、監査終了まで見直す必要がある
監査の肝だということが共有できればいいな、という思いでいます。
さて
今回は、会計監査について、大いなる勘違いを解き、
ベンチャーの監査役としての覚悟を問います。
では、
さっそく冒頭からベンチャーの監査役としての覚悟を問います。
会計監査、自分でちゃんと実施しています?
していないし、するつもりもない
できない
監査法人に100%委ねているし、それが会社法で認められてるからいいと思う
というなら、ベンチャーの監査役は辞任した方がいいと思います。
てか、辞任してください、お願いします。
私が懇願する理由は、
某ベンチャー企業のあまりにも残念な事例に
監査の専門家として、そして現在はベンチャーの監査役として
とてつもない虚無感を抱いているからです。
その事例は、
経営に行き詰り、資金に困り始めたベンチャー企業が、
資金調達の手段として上場を企み、
急成長企業かのような業績をつくりあげて上場し、
ウソが暴かれて上場後6か月で上場廃止になった
というものです。
その企業には、監査役が3名いました。
1名が常勤、2名が非常勤で、非常勤のうち1名は公認会計士でした。
もちろん、外部の会計士監査も受けていました。
なのに、ウソの業績は見過ごされ、
その業績を信じて投資してくれた人々を裏切ることになりました。
もちろん、一般論として、経営陣たちが巧妙にウソを隠せば
監査で見つけることは難しいという場面も多々あります。
私のように元々が会計監査の専門家ならまだしも、
そうでない監査役が会計帳簿を読み解くのは困難というのもわかります。
ですが、
この某ベンチャー企業は、公表した業績(売上)の約98%がウソでした。
たとえ会計知識がない監査役でも、社内の雰囲気を観察すれば
この業績ホント?と疑問を持つのは容易だと思いませんか?
経営陣が巧妙にウソを隠そうとしているなら、
従業員に「最近どう?仕事忙しい?」と聞いてみればいいんです。
本当に急成長しているなら、忙しくてヘトヘトで、という愚痴が返ってくるはずです。
この観察や質問も立派な会計監査です。
そして、ウソかもしれない、と察知しても会計知識がないからわからない、というなら、
その先は、外部の会計士監査に「依頼」すればいいんです。
その際に、会計士から「我々の監査では問題は見当たりませんでしたよ」といわれても
絶対に引き下がってはダメです!
社内の雰囲気や従業員の忙しさと業績が合わない気がしてすごく違和感がある
など、自分が実施した監査のありったけの情報を伝えましょう。
監査役の監査範囲は業務監査と会計監査といわれますが、
実務上、会計監査は含まれない、
みたいな暗黙の大いなる勘違いはされませんよう
自分は会計専門家ではないから、監査法人に任せるほかない、
みたいな暗黙の大いなる勘違いはされませんよう
監査役として自身ができる会計監査を改めて考え、計画に反映してください。
そうして、企業の監査品質を一緒に高めていきたいです!