ベンチャー企業の監査役の役割をもう少し深く考えてみる
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
先月は、ベンチャーの監査役の役割について、
監査役という役割をベンチャー企業ではどう位置付けているのかという実態分析と、
どう位置付けるべきかという私の考えを整理してみました。
今回は、
私が考える監査役の役割の1つ
『課題の指摘だけでなく、課題解消の道筋まで提案するという体制構築の一翼を担う』
を具体的に実行する場面について、考えをまとめてみます。
上場を目指しているベンチャー企業の監査役が上場企業の監査役と決定的に違うのは
IPO準備というイベントへの関わりがあることです。
ですが、私自身がWebで検索する限りにおいては、
ベンチャー企業の監査役の業務としてあげられているのは、
・各種会議への出席
・監査計画の策定、監査の実施と監査報告
・役員とのコミュニケーション
・内部監査人、監査法人との連携
など、上場企業の監査役と全く変わりない事項しか見当たりません。
これだと、
「ここができていない、あそこもできていない、、、」と指摘するだけの監査役ができあがりそうに思うのは
私だけでしょうか。
確かに、
監査役がまずやるべきことは、会社の課題の把握なので、
会議出席、役員とのコミュニケーションは必須です。
ただし、
これらの業務を無計画に始めてしまうと、次々に課題が見つかってしまい、
多数の課題の中で優先すべきなのは何か、
なぜそれを優先すべきなのか、
それをどう実行していくか、
に思いが及ばなくなります。
そこで、
私の場合、就任後すぐに実施したのは、
監査法人が会社に提示したショートレビューの報告書・監査実施報告書と
幹事証券会社が会社に提示した課題管理表の内容把握でした。
特に、幹事証券会社の課題管理表は、
組織体制の整備、運用、資本政策、労務、法務、経理、システム分野と、全方位の項目について
状況が示されているので、全社実態を把握するのに有効と思っています。
この表の項目1つ1つの内容を把握し、
次に俯瞰してもう一度眺めてみて、
どこが特に弱いかなど、会社の「特徴」を整理しました。
そして、弱い部分について、どの程度弱いのかを、
会議出席やヒアリング、証憑レビューなどで確認していきました。
それでも、次々と気になる部分が出てくるので、何を優先して対処すべきと考えるかは迷います。
唯一絶対の優先順位があればいいのですが、
課題の程度は企業によって区々ですから、それぞれの判断になるのが悩ましいところです。
私が監査法人に在籍していた時は、
IPO準備会社に、反社会的勢力との取引か労務管理違反があれば「アウト」
つまり、IPOのスケジュールが予定通りはいかない、と教えられました。
これらは、社会の公器として現在でも強く要求されることなので、この2点はまず優先して確認し
違反があれば早急に解消する対策が必要だとは思っています。
あと重要な項目は、「お金の出入り」でしょうか。
支払い担当者は経理と明確に決まっていて、現場のメンバーに権限がない仕組みになっているか、
入出金を記録する担当と、入出金処理をする担当は別人になっているか、
入金も出金も金額の確認が複数人で行われているか、などなど。
仕組みが整っているか、はあらゆる場面で確認が必要ですが、一番に確認するのは
お金周りの仕組みではないか、と思っています。
他の視点としては、
対処に時間がかかりそうなものを優先する、
逆に、すぐ対処できるものから手を付けることで、メンバーの達成感を醸成する
など、色々考えられますが、皆さんはどうお考えでしょうか。
私もまだまだ試行錯誤の連続ですし、自分が考える優先順位を役員に提言するのを
ためらうことも多々あります。
妙案があれば、ぜひ共有ください!
ベンチャー企業の監査役の監査計画を考えてみる
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
先月は、ベンチャーの監査役の役割について、
IPO準備というイベントと、どう関わっていくかについて考えてみました。
今回は、
私が会計監査人から監査役に転身して一番驚いた 『監査計画』 についてまとめてみます。
監査役に就任して、監査役監査の情報を集めはじめて感じたことは、
監査手続については、監査手法の説明が多いな、ということでした。
いえ、むしろ、監査手法の情報しか目に入ってこないのです。
監査役の実施することは、
・各種会議への出席
・監査計画の策定、監査の実施と監査報告
・役員とのコミュニケーション
・内部監査人、監査法人との連携
などがあります、みたいな情報です。
これだけの情報で「監査役監査、大丈夫なのか。。。」
と老婆心ながらとても心配になっています。(現在進行形)
私が会計監査人として13年間で刷り込まれた監査手続きは、こんな感じです。
まず、企業分析。
次に、同業他社と業界分析。
更に、経済全体の動向分析。
そして、これらを基にした当社のリスク分析と評価。
最後に、リスクに応じた検証のゴールを明らかにし、監査手続を決める
この一連が 『監査計画』 で、
これらをすべて監査調書に記録します。
ですが、監査役の監査計画調書の雛形を入手してみたところ、、、
分析部分のフォームはなく、いきなり監査基本方針と監査手続の例が列挙されていて、
めちゃくちゃ驚きすぎて、「うそ、、、だよね、、、」と思わず声が出てしまいました。
で、私はどうしたか、といいますと、
就任1年目
分析のための情報収集と企業理解をしていたら、あれよあれよと時が過ぎてしまい、
脳内で各種分析→リスク評価→検証ゴールの明確化 を終わらせ、
監査手続の部分だけ既存の雛形を利用させてもらって監査調書にしました。 泣
就任2年目(現在)
よし、当期は分析調書をつくろう! と意気込んだまま、
IPO準備のイベントにがっつり関与するのを優先しなければいけない事態になり、
脳内で各種分析→リスク評価→検証ゴールの明確化 を終わらせ、
監査手続の部分だけ既存の雛形を利用させてもらって監査調書にしました。 号泣
というトホホな状態ですが、
来期こそ、必ずや!と思っております。
特にベンチャーは、企業環境が月ベースで激しく動くことも“普通”なので、
決定したことの前提記録が残っていなければ、どこをどう見直しすればいいのかもわからなくなります。
監査計画は、期初に立てたら終了、というものではなく、
期末まで延々と見直しをするものなので、
見直しの変遷も含め、調書という見えるものにしておくべきだと思っています。
分析調書の雛形ができた暁には、うれしくて泣きながらご報告するとおもいます。
そして、分析のポイントなどもシェアできれば、と目論んでおりますので、
お楽しみにお待ちください!
NPOのイベント本番に向けて今年も焦ってます
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
今回は監査役シリーズを1回お休みして、、、
私が関与しているNPO法人ブリッジフォースマイルで
2021年7月3日(土)に開催する 『コエール』 というイベントについて触れたいと思います。
いまは、このイベント準備であたふたしているのです。
『コエール』 は、
親に頼れない子どもたちがいることを知ってもらうため、
そんな子どもたちの環境や想いを知ってもらうため、
知ってもらって、自分にできることを考えてもらうため、
かつて親を頼れない子どもだった若者たちが
スピーチをするイベントです。
今年は3回目で、昨年と同様、有料オンライン配信での開催です。
そして今年は去年より進化しまして、お申込者限定でアーカイブ視聴もできます(期間限定ですが)。
会場キャパの心配がない分、多くの方に視聴頂き
あなたのすぐ近くにもあるかもしれない事実を知って頂きたい、
と集客を頑張っております!
ぜひ、一緒に社会課題解決の当事者になりませんか?
視聴、お待ちしております、、、
詳細はコチラ↓
コエール 親ありき日本をこえる
NPOのイベント本番が無事に終了しました!が、、、
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
前回6月のコラムでは、
私が関与しているNPO法人ブリッジフォースマイルの
『コエール』 というイベント準備をしています、ぜひ参加してくださいね、
とお伝えしましたが、2021年7月3日に開催&無事終了しました!
今年は3回目で、完全オンライン開催は2回目だったのですが、
有料オンラインにも関わらず、昨年より多くの方が参加してくださり、感謝、感謝です!
イベントに参加してくださった方々、ありがとうございました!!
友人・知人から、個別に「参加してよかった。案内をありがとう!」というコメントも頂き、
「色々と考える機会になった」と言ってもらえると、
社会を変えるって、こういう小さな1歩からだよな、と実感します。
一方で、
今回のイベントに登壇してくださった岩朝しのぶさんがおっしゃっていたのですが、
社会課題に無関心の方々の耳目にも情報がふと届くようにしないといけない
意識的に情報を取りにいかなくても社会課題を知れるようにしないといけない
社会課題に関心の高い方々だけでは真に社会を変える事はできないから
というのは本当にその通りだと思っています。
『コエール』は、意識高い系の人たちの集会だよね、って思われて終わってはいけないし、
自分たちも、去年より多くの人に参加頂いたし、と安堵して
“自己満”に終わらせるわけにはいかないな、と改めて思っているのです。
今年はかつて親を頼れない子どもだった若者たち9人が、
自分たちの経験を踏まえ、社会課題だと感じることをスピーチしてくれましたが、
その9人の「社会を変えたい」という強い想いを、具現化していかなければいけません。
皆さんと共に、こういうちょっとした活動から、1歩ずつ進んでいけたらいいな、と思っています。
ソーシャルアクション | Coyell コエール (b4s.jp)
前回、監査役シリーズを1回お休みして、、、といいながら、2回お休みしてしまいました。
次回は、監査役シリーズに戻しますので、
お楽しみにお待ちください!
ベンチャー企業の監査役の監査計画を考えてみる 補足
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
2ケ月間、ベンチャーの監査役シリーズをお休みしていまして、
8月から再開するつもりでしたが1か月遅れの今月から再開します!
5月のコラムでは、
私が会計監査人から監査役に転身して一番驚いた 『監査計画』 についてまとめました。
本当に有益な監査を計画しているといえるのか、問いかけてみました。
今回は、
監査計画について、あともう1つ愕然としたことをお伝えします。
それは、監査計画はいつ策定するものなのか論争です。
これに関連して、
監査法人在籍時代から、私はIPOをサポートする幹事証券会社に対して
ネガティブな印象が強く
ものすごい偏見をもっているということを最初にお伝えしておきます。
IPOを目指すベンチャー企業は、幹事証券会社と支援契約を締結して
組織体制など様々な足りない部分を指摘頂き
マイルストーンを置いてその足りない部分を埋めていきます。
私が監査役を務めるベンチャー企業でも
精力的にその「埋める」という業務が行われていますが、
ある日、
証券会社からの指摘として
監査役監査の監査計画は、会計年度がスタートするまでに策定すべし
とのコメントを、コーポレート部長経由で頂きました。
その時の私の第一声は 「はぁぁぁ???何の冗談ですか? ありえない!」 でした。
板挟み状態のコーポレート部長はひどく困惑していましたが、
私の激怒りの理由を証券会社に伝達して欲しいとお願いしました。
会計年度がスタートするまでに監査計画を策定できるわけがない
という私の主張はこうです。
監査役監査には、会計監査も含まれます。
その会計監査は、会計期末の翌月に経理が締め作業を完了させた時点からスタートします。
つまり、会計年度開始月においては、前期の監査が進行中なわけです。
そして、前期の監査が終了した時点で、企業リスクや課題が整理されるので、
次期の監査計画が策定できる状態になるわけです。
とすると、どうやっても会計期首に監査計画は策定できないはず、なのです。
ということで、私が監査役を務める企業では、
証券会社の方が指摘を取り下げてくださいました。
幹事証券会社のすべてのご担当者がこのような指摘をされるわけではない
という情報は得ていますが、逆にこのような指摘をされる方も稀ではないようで
本当に、お願いですから、監査を無効化に導かないでください
と声を大にして言いたいです。
証券会社の指摘に従って期首までに監査計画を策定している会社は、
実効性がない計画で、その計画に従って監査を実施しているなら
それは、監査やってる感パフォーマンスだけの何の実効性もないトホホな監査だと私は思ってしまいます。
海外投資家から日本企業の監査役への信頼がないのをわざわざ助長するようなことは
厳に慎んで頂きたいです。
むしろ、期首時点で監査計画が出来上がっている会社は、
「企業リスク評価されました?監査重点項目はリスクに対応してますか?」と
突っ込んで頂けるなら、日本企業の監査の品質も向上すると思います。
前回もお伝えしましたが、
私の脳内にある監査計画調書が見えるカタチになればシェアし、
みんなでブラッシュアップしていければいいなー
と目論んでおります。
日本企業の監査品質を一緒に高めていきましょう!
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また、よくある質問をまとめていますので、こちらもご確認ください。
みなさまのお役に立てることを心待ちにしております!
ベンチャー企業の監査役の監査計画を考えてみる まとめ
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
9月から再開したベンチャーの監査役シリーズ、
監査計画については、5月と9月の2回に渡り思いの丈を綴ってきましたが、
今回、まとめてみることにしました。
ではまず、2回の反芻をしてみますね。
9月のコラムでは、
監査計画は期首までに策定するものなのか論争について綴りました。
未上場のベンチャー企業は、会計監査人が不在のため監査役が会計監査も担うので、
監査終了は、翌期の第1四半期に食い込みます。
その結果を翌期の計画に織り込むため、翌期首時点で計画立案はできず、
通常は第1四半期中に計画立案することになるはず、とお伝えしました。
つまりは、
監査計画には、前期の監査で発見された課題を吟味して、計画に織り込まないといけません。
発見された課題そのものを翌期の監査重点項目とする場合もあるでしょうし、
その課題に関連して懸念事項が浮き彫りになるというケースも考えられます。
例えば、ある子会社で売上の計上誤りが見つかり、それが管掌役員の最終チェックの甘さが
一要因だとするならば、同じ役員が管掌する他の子会社は大丈夫か、
という懸念事項が浮上するでしょう。
それについて何の考慮もせず、翌期の子会社往査は以前に決めたローテーション通り、
と計画していたなら残念極まりない、という話しになります。
5月のコラムでは、
監査計画は基本方針と実施手続きを羅列するだけでいいのか問題について綴りました。
確かにどちらも計画に必須ですが、公認会計士の私にとっては、これだけで監査ができるとは
到底思えません。
つまりは、
監査実施には、まず企業がさらされているリスクを分析して、
違法行為や不正、誤りがどこに発生しやすいかを推測し、
内部統制でどこまでケアできそうかを吟味した上で、
監査領域と時期、監査の方法を決める必要があり、
これらすべてが監査計画として記録されているはず、ということです。
そして、今月はまとめの回として、、、
最後に
3択問題です。
監査計画が『確定』するのはいつでしょう。
1.監査計画を策定した時(監査が開始される時)
2.監査計画を策定し、監査が開始された後、計画修正が完了した時(監査中)
3.監査が終了した時
どうでしょうか。
これ、公認会計士受験生が1度は間違える問題です。
そして、公認会計士は、実務を通して肌感覚で1でも2でもないと知っている事です。
そう、正解は3です。
なぜこんな問いかけをしたかといいますと
監査役の監査計画が、監査の結論とつながっていないのでは、と心配になったからです。
これは、もしかしたら、監査役の監査計画に限らず、
一般的な計画にもいえることかもしれません。
PDS(Plan、Do、See) とよくいいますが、Seeって何をSeeしていますか?
Doの実態について反省したりしていませんか?
DoはPlan(目的)のための手段でしかありません。
なので、Seeの対象はPlanつまり、目的が達成できたか、の吟味なのです。
つまりは、
計画は立案したら終了ではなく、
それを実行しながら、
そして実行の結果を受けて、計画した目的に合致したか、
実行開始から最後まで、ずっと指差し確認しないといけないのです。
今まで何度かお伝えしていますが、
私の脳内にある監査計画調書が見えるカタチになればシェアし、
みんなでブラッシュアップしていければいいなー
と目論んでおります。
企業の監査品質を一緒に高めていきたいですね!
ベンチャー企業の監査役の会計監査
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
先月は、ベンチャーの監査役の監査計画についてまとめてみました。
計画は、出来上がると安心して終わった気になりますが、監査終了まで見直す必要がある
監査の肝だということが共有できればいいな、という思いでいます。
さて
今回は、会計監査について、大いなる勘違いを解き、
ベンチャーの監査役としての覚悟を問います。
では、
さっそく冒頭からベンチャーの監査役としての覚悟を問います。
会計監査、自分でちゃんと実施しています?
していないし、するつもりもない
できない
監査法人に100%委ねているし、それが会社法で認められてるからいいと思う
というなら、ベンチャーの監査役は辞任した方がいいと思います。
てか、辞任してください、お願いします。
私が懇願する理由は、
某ベンチャー企業のあまりにも残念な事例に
監査の専門家として、そして現在はベンチャーの監査役として
とてつもない虚無感を抱いているからです。
その事例は、
経営に行き詰り、資金に困り始めたベンチャー企業が、
資金調達の手段として上場を企み、
急成長企業かのような業績をつくりあげて上場し、
ウソが暴かれて上場後6か月で上場廃止になった
というものです。
その企業には、監査役が3名いました。
1名が常勤、2名が非常勤で、非常勤のうち1名は公認会計士でした。
もちろん、外部の会計士監査も受けていました。
なのに、ウソの業績は見過ごされ、
その業績を信じて投資してくれた人々を裏切ることになりました。
もちろん、一般論として、経営陣たちが巧妙にウソを隠せば
監査で見つけることは難しいという場面も多々あります。
私のように元々が会計監査の専門家ならまだしも、
そうでない監査役が会計帳簿を読み解くのは困難というのもわかります。
ですが、
この某ベンチャー企業は、公表した業績(売上)の約98%がウソでした。
たとえ会計知識がない監査役でも、社内の雰囲気を観察すれば
この業績ホント?と疑問を持つのは容易だと思いませんか?
経営陣が巧妙にウソを隠そうとしているなら、
従業員に「最近どう?仕事忙しい?」と聞いてみればいいんです。
本当に急成長しているなら、忙しくてヘトヘトで、という愚痴が返ってくるはずです。
この観察や質問も立派な会計監査です。
そして、ウソかもしれない、と察知しても会計知識がないからわからない、というなら、
その先は、外部の会計士監査に「依頼」すればいいんです。
その際に、会計士から「我々の監査では問題は見当たりませんでしたよ」といわれても
絶対に引き下がってはダメです!
社内の雰囲気や従業員の忙しさと業績が合わない気がしてすごく違和感がある
など、自分が実施した監査のありったけの情報を伝えましょう。
監査役の監査範囲は業務監査と会計監査といわれますが、
実務上、会計監査は含まれない、
みたいな暗黙の大いなる勘違いはされませんよう
自分は会計専門家ではないから、監査法人に任せるほかない、
みたいな暗黙の大いなる勘違いはされませんよう
監査役として自身ができる会計監査を改めて考え、計画に反映してください。
そうして、企業の監査品質を一緒に高めていきたいです!
東京都こどもスマイルムブメントに参画することになりました
東京都の新しい試み
「チルドレンファースト」の社会を創出する こどもスマイルムーブメント
への参画企業となることのお声がけを頂きました。
2021年12月19日は、そのキックオフがあり、弊社代表 神田千鶴がオンラインで参加いたしました。
弊社は、今後も当活動に参画していく予定にしております。
ベンチャー企業の監査役は女性が適任!と思う理由
こんにちは。ミライ経済Lab.株式会社 代表の神田千鶴です。
今まで6回に渡り、ベンチャーの監査役について自分の思う所を書き留め問いかけてみました。
本当は、もう少し問いかけてみたいことがあるのですが、
それはまた別の機会に、
ベンチャー企業の監査役ガイドライン的にまとめようと思っているので、そこで書き留めることにします。
ということで、
監査役シリーズは今回が一旦最終回。
ベンチャー企業の監査役の適性について
私の考えを展開してみます。
結論からいうと、タイトルにある通り、
女性が適任な気がしているのです。
そしてそれは、
『この時代に』 IPOを目指すベンチャー企業にとっても
管理職や役員になることに戸惑うビジネスウーマンにとっても
相互ハッピーなだけでなく、すごい相乗効果になるのではないか、と気付いてしまいました!
え⁈そんな新しいキャリアプランがあったなんて!
と驚愕しているビジネスウーマンの方々
でも私にも務まるのかしら?
と一瞬で不安になったビジネスウーマンの方々
ちゃんと理由を説明しますので、ぜひ熟読してください‼
視点としては、①素養 ②経営環境と市場動向 ③働き方 という面から考察します。
ではまず、
ベンチャー企業の監査役の素養を私なりに定義してみます。
ベンチャー企業の監査役として必要なのは、
強い責任感 と 非常に強い使命感。
これに尽きると思っています。
ベンチャーに限りませんが、会社の役員は、経営責任という重責を負います。
監査役も役員ですからご多分に漏れず、なわけです。
でも、恐れることは全くありません。
必要なのは、経営責任を負うポジションだという自覚をもつことと、
会社を信用してくれている人たちを欺くような経営をしていないか、
一般的な感覚で観察をする姿勢をもつこと。
それをしっかり実行することが、ここでいう監査役の強い責任感です。
非常に強い使命感というのは、
監査役の肝となる 『独立性』 を常に維持する自覚と姿勢です。
監査役は、第三者的な視点で物事をみて、歪んだ行動を正すよう促す役割を担います。
「今回だけは見逃して!」「これぐらいはOKにして!」という仲間からの懇願に情をかけては
役目が果たせません。
これ、実際は正直しんどいことです。
だからこそ、役目を果たすぞ、という非常に強い想いをキープし続ける必要があります。
私の偏見もありますが、ビジネスウーマンの多くは、
「社内政治」や「社会的ステータス」に興味はなく、ただただイイ仕事をしたい一心で
仕事に実直、ヘンな駆け引きよりも正しい道を選ぶ
というスタンスにみえるので、監査役の素養にピッタリあてはまるじゃない!と思っているのです。
社会に誠実でクリーンな企業であることを求められるこの時代、
強い責任感と非常に強い使命感を備えた監査役は重宝されるはずなのです。
次は、
経営環境と市場動向の面からみてみます。
先の監査役としての素養だけみると、ベンチャーだけでなく、
上場企業の監査役でも務まりそうに思えます。
ですが、ベンチャーと上場企業とでは、難易度が違うというのはお伝えしておきたいのです。
比較しやすいようにラフな表にしてみます。
ベンチャー企業 |
上場企業 |
|
【大前提】企業の体制 |
構築中 or未構築(その場対応) |
確立。 ただし、時代に合わず刷新や改革を模索中 |
企業に必要なこと |
トライ&エラー&トライ |
スクラップ&ビルド |
監査役の業務 |
一緒にトライ&エラー&トライ |
スクラップの妥当性判断 ビルドの適切性判断 |
難易度 |
低いとはいえないが高くはない |
非常に高い (専門性があると優位) |
誤解を恐れずに言うならば、
上場企業の監査役は失敗が許されないが、ベンチャー企業は少々の失敗は繰り返しても大丈夫
というのが私の意見です。
そもそもベンチャー企業は、新しいモノを世の中に広めようとしているので、
「通例」みたいなものにこだわりがなく、気にかけないといけない「前例」もありません。
とにかくやってみる、これが大事で、
やってみてダメなら軌道修正していけばいいんです。
どうですか?
ベンチャー企業なら、チャレンジできるかも。。。
すごい成長機会。。。という気になりませんか。
そして、市場はいま、女性役員の売り手市場なんですよ。
理由はダイバーシティと法改正です。
法改正により、上場企業は社内の生え抜きでなく社外の役員を一定数置くことが義務化されました。
更に、女性活躍に関する実態や計画の届け出も大企業は義務化されていますが、
対象企業が拡大され、小規模企業も範囲に入ってきます。
これらが相まって、
ベンチャー企業は、将来上場した時を視野に社外役員は女性にしよう、
ただし、取締役という経営を直接担う役割はレベルやビジネスセンスの相性が心配なので、
まずは経営をチェックする役割の監査役で、
という機運なわけです。
ビックチャンスが到来中なのですよ!
では最後の視点、働き方です。
ベンチャー企業の監査役で週5のフル出勤というのは珍しいのではないでしょうか。
多いのが週3~4日、しかも役員は雇用契約ではないので、法定勤務時間なるものもなく、
最初に会社側と交渉で決めるものの、割と臨機応変に稼働できるのが一般的な気がします。
逆にいえば、従業員のように、上司が業務進捗や内容をチェックしてくれることはなく
完全な自己管理なので、セルフマネジメントがとても大事です。
とはいえ、
共働きでも母親の家事・育児比率が高い家庭がまだまだ多いことを考えると、
臨機応変に働けるというのは、ビジネスウーマンにとって1つの魅力になるのではないかと思っています。
役員は雇用契約ではないということは、労災は適用外、
辞めても失業給付手当はありません。
給与も高給を最初から望むことはまず無理でしょう。
でも、役員というキャリアの入場切符を掴めると、その先のキャリア選択は格段に広がります。
現状の給与から役員養成学校への学費を支払ってると思えるなら、そして
それで経済的に成り立つなら、チャレンジする価値はあると私は思います。
どうでしょう?
素養、経営環境と市場動向、働き方からみると、
監査役は女性が適任だと思いませんか?
私はものすごく適任だと思います‼
もちろん、監査のいろは はきちんと学ぶ必要がありますし、
絶えず情報のキャッチアップも必要です。
もしも経営責任を問われ訴えられた時に備え、
賠償金額の上限を決めることができる法律を使い、会社と契約をしておくのも大事です。
こういう細かいTipsは色々とありますが、
多くの向上心あるビジネスウーマンが
監査役に興味を持ち、
実際に監査役になり、
同志として共に企業の品位を高めていけたら嬉しいです。
ベンチャー企業の女性監査役交流会みたいなものを妄想すると
楽しそうでワクワクします。
それが実現する日を楽しみにしています!
今回は女性にフォーカスしたお話しでしたが、
年末年始は、ビジネスマンもウーマンも自分のキャリアを考える時間にしてはいかがでしょうか。
それだけでも楽しそう! どうか良いお年を‼